秘密の地図を描こう
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「久しぶり」
「よっ」
珍しい組み合わせがアークエンジェルに押しかけてきた。
「ミゲルにディアッカ? どうかしたの?」
キラは思わずこう問いかけてしまう。
「まぁ、とりあえず打ち合わせという名の根回しに、な」
ミゲルがそう言って苦笑を浮かべる。
「本当はイザークと来る予定だったんだが……隊長二人が抜けるわけにいかなくてな」
さらにディアッカがこう付け加えた。
「ミリィに会いに来たんじゃないの?」
キラはそんな彼にこう問いかける。
「ディアッカが残れば、イザークが留守にしていても大丈夫だったでしょう?」
さらにこう言葉を重ねた。
「……そのあたりは追求してくれるな」
頼むから、と彼は言い返してくる。
「こういうチャンスでもないと、実際に顔を合わせてくれないんだ、ミリィは……」
意外と頑固なのだ、と彼は付け加えた。
「ミリィだけじゃないよ。マリューさんもラクスも、結構、頑固だと思う」
とりあえず移動しよう、と指の動きで伝えながらキラは言い返す。
「そうなんだ」
見かけによらない、とミゲルが言う。
「そういえば、ミゲルの隊は誰が留守番役? レイ?」
あの三人の中で一番信頼が置けるとすれば彼ではないか。そう思いながらキラは口にする。
「アスランだ」
さらりと彼は告げた。
「……マジ?」
キラよりも先にディアッカがそう言う。
「マジ。しかも、自分から言い出したんだから……まぁ、替わったよな、あいつも」
憑き物が落ちたというのか、とミゲルは笑いながら告げる。
「まぁ、どちらにしろいいことじゃね?」
「そうだね」
ディアッカとキラは顔を合わせてうなずき合う。
「おっさんの方も何とかなったようだし……このままハッピーエンドで終わってくれりゃいいが……」
ディアッカは苦笑とともにそう呟く。
「イザークだろう? それを心配しているのは」
ミゲルが即座に突っ込みを入れる。
「そうなんだよな」
それはそれで正しいのだろうが、とディアッカは言い返した。
「でも、ラウさんもバルトフェルド隊長も同じようなことを言っていたよ?」
最後の最後に何かをしでかすかもしれない。だから、気を抜くな……と言っていた。キラはそう言う。
「……そう言えば、二人は?」
アークエンジェルの中とは言え、キラが一人でうろついているのは珍しい、とミゲルが問いかけてきた。
「デッキだったし、あそこにはマードックさん達がいたからね」
キラはそう言い返す。
「二人は今、ムウさんを巻き込んでブリーフィングルーム。大人の話し合いの最中って言ってたよ」
とりあえず、ムウをあまりいじめないでね……とは頼んでおいたが。キラは苦笑とともにさらに言葉を続けた。
「……おっさん……」
ディアッカは遠い目をしながら呟く。
「近づかないでおこう、うん」
ミゲルはミゲルでそう言っている。
「とりあえず、ブリッジに行こうか」
そこから三人を呼び出すから、とキラは笑う。自分が決して彼らの言葉を否定しないと当然伝わっているはずだ。だが、実際に否定できないのだから仕方がない。
「ともかく、早く終わってくれるといいけど」
キラは小さな声でそう付け加える。そんな彼の背中を、二人が背後から軽く叩いてきた。